住宅ローンは年収の何倍まで借りられる?
夢のマイホームを購入するときには、住宅ローンを利用する方がほとんどです。住宅ローンを利用するときの指標のひとつに年収が挙げられますが、年収と照らし合わせたときに住宅ローンはどれくらい借りられるのでしょうか。この記事では、住宅ローンは年収の何倍まで借り入れ可能かや住宅ローンの注意点などについて解説していきます。
住宅ローンと年収について
住宅ローンを利用するときのバロメーターとなるのは、自身の年収です。金融機関が住宅ローンの審査を行うときには、年収倍率を判断基準のひとつとしています。
年収倍率の全国平均は?
物件購入者の年収と物件購入価格の比率を示すのが年収倍率ですが、一般的な住宅ローンの年収倍率は、全国的には7倍から10倍ほどとなっています。とくに都心などの首都圏や近畿地方ではほかの全国のエリアよりも年収倍率が上になる傾向にあります。
また「2023年度 フラット35利用者調査」を参照すると、年収倍率は土地付注文住宅が7.6倍、マンションは7.2倍、注文住宅は7.0倍、建売住宅は6.6倍、中古マンションは5.6倍、中古戸建は5.3倍という調査結果が出ています。この結果を見ると、年収倍率が10倍なことは少なく、5倍から7倍が多い傾向にあるということです。
前年度の2022年に比べると、注文住宅以外の年収倍率は横ばいかもしくは減少傾向にあります。そのため、年収倍率の多くは7倍ほどを指標とするとよいでしょう。
頭金の存在も忘れずに
先述で年収倍率の平均をお伝えしましたが、基本的には頭金が含まれた金額での平均値を示しています。頭金込みの年収倍率で住宅ローンを考えてしまうと借りすぎてしまうことになります。
年収倍率を知ることで自身の年収でどれくらいの物件を購入できるかの指標は知れますが、実際の住宅ローンの利用額に直結するものではないため、注意が必要です。頭金は一般的に1割から2割を自己負担することが多いため、その点を考慮して物件の購入価格を検討していくことが大切です。
頭金を除いた物件購入金額での住宅ローンを組んでいくことで実際の支払い額に直結するでしょう。
住宅ローンの借入限度額と配慮すべき点
住宅ローンは、各収入に応じて借入の限度額が決まります。しかし住宅ローンにおいて、借入限度額をそのまま借りることは果たして正解なのでしょうか。
ここでは、住宅ローンの借入限度額と配慮すべき点について紹介します。
借入限度額は返済可能額とは言い切れない
住宅ローンにおける借入限度額は、金融機関での審査で通過できる最大の借入額のことです。借入限度額はあくまでも目安となる限度額であり、返済可能額とは別です。
もしも、返済が滞ってしまうと遅延損害金が発生し、利息が高くついてしまったり、払い続けられない状態が続いてしまうと、住宅の差し押さえなども場合によってはあり得ます。借入限度額のまま住宅ローンを設定してしまうと、毎月の返済が厳しくなってしまうことも少なくありません。
そのため、住宅ローンの契約には借入限度額を頭に入れながらも、別で返済可能額を決定することが大切です。
住宅ローンの利用額の注意点
住宅ローンを決めるときには、大きく3つの点に注意して決めることが大切です。
1つめは、それぞれの家庭の家計状況です。たとえ年収が同じであっても、ライフスタイルや何人家族なのか、自由に使えるお金がどれくらいあるのか否かはそれぞれの家計状況によって異なります。
毎月の支出額も何人家族なのかによっても大きく変わってくるため、容易に年収倍率だけで住宅ローンの利用額を確定するには不安要素が多くなってしまいます。そのため、実際の家計状況と照らし合わせて無理のない返済ができる金額を算出していくことが大切です。
2つめは、年収の変動です。年収は一生涯ずっと変わらないとは言い切れません。一般的に住宅ローンは25年から30年というような長期間での契約になります。
契約時と30年後の年収が全く同じかどうかは未定なため、年収が少し下がってしまったときでも無理なく返済できる金額設定が重要になります。
3つめは、金利の変動です。金利には、固定金利や変動金利などがあり、どのタイプの金利で契約するのかを選べます。なかでも変動金利の場合には、市場の変化に合わせて金利の上下が決定します。
最初は低金利での支払いであっても、ずっとその金額での支払いとは限らず、完済するまで総合的な返済金額が決定できません。そのため、変動金利を選択して住宅ローンを組むときには金利が上がってしまうリスクも考慮したうえで、無茶せずにも返済できる金額設定にすることが大切です。
安定した望ましい住宅ローンの組み方とは?
住宅ローンの指標となる利用額や、住宅ローンでの配慮すべき点などについて解説してきましたが、望ましい住宅ローンとはどのような状況なのでしょうか。ここでは、安定した住宅ローンを組むためのポイントを解説します。
返済比率を心得ておく
住宅ローンを組むときには、返済比率に目を向けることが大切です。返済負担率とも呼ばれており、一般的にはそれぞれの金融機関で返済比率が決められています。
返済比率は、30%から35%程を推奨していることが多いですが、返済比率が30%以上になると生活費への負担が大きくなってしまう恐れがあります。そのため、手取り年収の25%以下を返済比率とすることで日常生活を圧迫することは少なくなるでしょう。
より余裕を持った生活にしたい場合には、手取り年収の20%以下の返済比率とすることがおすすめです。20%以下にすることで子どもの習い事や将来の生活への積み立てに充てることも可能になるでしょう。
そのため、住宅ローンを確定するには返済比率を手取り年収の25%以下に定めることをおすすめします。
住宅ローンの返済比率を下げるには?
住宅ローンの返済比率をより低くするためには、どのようなことを実践するとよいのでしょうか。住宅ローンの返済比率を下げるには、大きく4つのポイントがあります。
1つめは、頭金を増やすことです。頭金は住宅購入のときに最初に支払う金額ですが、この頭金をより多く支払うことで住宅ローンの総額を下げることができます。
また頭金をより多く支払えることで金融機関からの評価も高まり、ローン審査に有利になります。半年分の収入は手元に残したうえで、無理のない頭金を用意することが大切です。
2つめは、ほかの借金やローンなどを完済しておくことです。住宅ローンの審査においてもほかのカードローンや自動車ローンなどが完済されていることで有利となります。
住宅ローンのみの返済に注力できることで日常生活にも余裕が生まれるため、住宅ローンを組む前にはできる限り、ほかの借金やローンなどを完済しておくことをおすすめします。
3つめは、返済期間を長くすることです。住宅ローンは最長で35年ローンが可能となっており、定年退職後にはローンが終わっている期間での最長年数を設定することがおすすめです。
住宅ローンの返済期間を長くすることで毎月の支払い金額が少なくなります。自身の年齢と照らし合わせて住宅ローンの期間を組んでいくことが大切です。
4つめは、金利がなるべく低い住宅ローンの契約を行うことです。金利は毎月の支払金額に非常に影響を与えます。そのため、できる限り金利の低い住宅ローンで契約をすることをおすすめします。返済比率と金利を考慮したうえで借入先を決定していくとよいでしょう。
まとめ
今回は、住宅ローンを決めるうえで年収倍率や返済比率、よりよい住宅ローンの組み方などを解説してきました。住宅ローンには、自身の手取り年収や金利、返済比率などさまざまな点を考慮したうえで決定していく必要があります。住宅ローンの契約時だけではなく、20年、30年後の年収を見越したうえで自身の生活に無理のない金額での借入れが重要です。希望する物件の購入金額と今回紹介した内容を照らし合わせながら、住宅ローンを組んでいくことをおすすめします。